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都立中学受験の報告書(通知表、成績表、あゆみ)の各校の教科ごとの配点を分析

      2020/03/28

都立中学受験の際に提出する報告書(小学校の成績表、内申書、通知表、あゆみ)の教科ごとの配点を分析

 

都立中学受験に必要な報告書とは

 
都立中学では、願書提出の際に、小学校の成績を「報告書」という形式で小学校のときの成績の提出を求め、また、その成績を合否判定の対象としています。
 
 
「報告書」は小学校の先生が記入しますが、記入する内容については下記が参考になります。
 
東京都教育委員会 都立中高一貫教育校
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/secondary_school/index.html
 
上記のページの『「令和**年度東京都立中等教育学校及び東京都立中学校入学者決定に関する実施要綱・同細目」報告書(様式3)について』のリンクをたどっていただくと、報告書に記載する内容について説明がされています。
 
千代田区教育委員会 九段中等教育学校入学者決定に関する実施要綱
https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kosodate/gakko/kudan-nyugaku.html
 
九段中等教育学校の場合は、千代田区立ですので、上記の千代田区教育委員会のページの「報告書(様式2)(ワード:57KB)」「報告書(様式2)の記入例(PDF:376KB)」から確認できます。
 
上記の「報告書」の書式や記入例を見てもらえると分かりますが、「報告書」といいつつ、小学校でもらう「通知表(成績表、あゆみ)」とほぼ同じような内容です。
高校受験では「内申書(内申点)」と表現する場合もあるものです。
 
 
成績表として対象となるのは、都立中学は 5年と 6年の 2年間です。
九段中等だけは 4年~ 6年の 3年間です。
 
また、6年生の成績は 12月末までの成績が反映されます。
(公立小学校では 3学期制をとっていますので 2学期末の成績で。私立などで 2学期制をとっている場合は 12月末で締めた成績が対象になります。)
 
 

都立中学の各校の報告書と試験の結果の配点割合

 
都立中学の受験では、小学校の成績が合否判定に使われますが、小学校の成績がどれくらいの割合で合否判定の対象にするか、は各校によって異なります。
 
 
まず、単純に報告書(小学校の成績)の配点の割合は以下の通りとなります。
 
小石川中等  800点満点中 200点(25%)
桜修館中等 1,000点満点中 300点(30%)
三鷹中等  1,000点満点中 200点(20%)
立川中等  1,000点満点中 200点(20%)
南多摩中等 1,000点満点中 200点(20%)
 
両国中学  1,000点満点中 200点(20%)
白鷗中学  1,000点満点中 200点(20%)
富士中学  1,100点満点中 200点(18%)
大泉中学  1,000点満点中 200点(20%)
武蔵中学  1,600点満点中 400点(25%)
 
九段中等  1,000点満点中 200点(20%)
 
 
こうやって見ると、桜修館中等の報告書の配点が高いため、小学校の成績を重視しているように見えますが、実は、桜修館中等は小学校の成績はそれほど大きい影響はありません。
 
なぜならば、小学校の成績は「よくできた(3)」「できた(2)」「もう少し(1)」をそれぞれ点数に換算して集計して合否判定に使うのですが、「よくできた(3)」「できた(2)」「もう少し(1)」を何点にするか、は学校ごとに異なっているためです。
 
 
桜修館中等は報告書の割合が高いものの、「よくできた(3)」「できた(2)」「もう少し(1)」の配点の傾斜が小さいため、報告書の内容では差がつきにくいのです。
 
では具体的に各校の「よくできた(3)」「できた(2)」「もう少し(1)」の配点が何点なのかを具体的に確認してみましょう。
 
 
ちなみに、「1教科あたりの点数」の右側にある「(5倍、1.25倍)」と言った倍率の「5倍」の方は、「もう少し(1)」の配点に対する「できた(2)」「よくできた(3)」の倍率です。
「1.25倍」の方は「できた」に対する「よくできた」の倍率です。
 
つまり、「もう少し(1)」と「できた(2)」「よくできた(3)」、「できた(2)」と「よくできた(3)」の点数の差を確認する値としています。
 
また「半分が『よくできた(3)』」は、教科の半分が「よくできた(3)」でもう半分が「できた(2)」であった場合の点数を試算しています。
 
 

都立小石川中等教育学校の報告書の配点

 

小石川中等の報告書(小学校の成績)の配点

 
よくできた(3):25点
できた(2)  :20点
もう少し(1) :05点
一学年の配点 :200点
報告書の総配点:400点
 
 

小石川中等の適性検査(試験)と報告書の配点

 
教科  適性Ⅰ 適性Ⅱ 適性Ⅲ 報告書 合計点
素点  100点 100点 100点 400点
換算点 200点 200点 200点 200点 800点
 
小石川中等の場合、1教科あたりの点数は以下になります。
 3:12.5点/800点満点(5倍、1.25倍)
 2:10.0点/800点満点(4倍)
 1: 2.5点/800点満点(1倍)
 
他校との比較のために 1000点満点に換算すると以下になります。
 3:15.63点/1000点満点
 2:12.50点/1000点満点
 1: 3.13点/1000点満点
 
 
オール「よくできた」の場合は 200点。
半分が「よくできた」の場合は 180点。
オール「できた」の場合は   160点。
オール「もう少し」の場合は  40点。
 
他校との比較のために 1000点満点に換算すると以下になります。
オール「よくできた」の場合は 250点。
半分が「よくできた」の場合は 225点。
オール「できた」の場合は   200点。
オール「もう少し」の場合は  50点。
 
 

小石川中等の適性検査と報告書の配点の特徴

 
小石川中等は「できた」と「よくできた」の差が 1.25倍と小さく、報告書よりも本試験での結果を重視していると言えます。
 
そもそも、小石川中等を受験する層は、おおよそ「オール『よくできた』」に近い成績だと思われ、報告書では差が付きにくい状態だろうと思われますので、本試験での勝負ということになります。
 
ただ、「もう少し」と「よくできた」の差は 5倍ありますので、おおよそ「オール『よくできた』」に近い成績での競い合いになる中で、複数の教科で「もう少し」があると致命的とも言える状況です。
 
 

都立桜修館中等教育学校の報告書の配点

 

桜修館中等の報告書(小学校の成績)の配点

 
 よくできた(3):25点
 できた(2)  :17点
 もう少し(1) :09点
 一学年の配点 :200点
 報告書の総配点:400点
 
 

桜修館中等の適性検査(試験)と報告書の配点

 
教科  適性Ⅰ 適性Ⅱ 報告書 合計点
素点  100点 100点 400点
換算点 200点 500点 300点 1000点
 
桜修館中等の場合、1教科あたりの点数は以下になります。
 優:18.75点/1000点満点(2.78倍、1.47倍)
 良:12.75点/1000点満点(1.89倍)
 可: 6.75点/1000点満点(1.00倍)
 
オール「よくできた」の場合は 300点。
半分が「よくできた」の場合は 252点。
オール「できた」の場合は   204点。
オール「もう少し」の場合は  108点。
 
 

桜修館中等の適性検査と報告書の配点の特徴

 
桜修館中等は、報告書の割合が 1000満点中の 300点あり、他校と比較すると報告書の割合が高いいため、報告書の内容を重視しているように見えます。
 
しかし、「もう少し」「できた」「よくできた」の配点により、オール「もう少し」でも 108点ありますので、最低点が約 100点、オール「できた」が約 200点、オール「よくできた」が 300点と考えることもできます。
そう考えると、報告書の配点は 300点ありますが、全員が約 100点から始まるだけで、報告書の配点は三鷹中等、立川国際中等、南多摩中等と大きな差はない、といえます。
 
ただ、報告書のベースが 100点であると考えると、オール「もう少し」の場合は 8点しかないことになりますので、「もう少し」の配点(評価)は九段中等と変わらないくらい低いといえます。
また、九段中等は 3年分の成績が評価対象で 1教科あたりの影響は小さくなりますが、桜修館中等は 2年分のため、「もう少し」がある場合のダメージは九段中等以上のものがあるとも言えます。
 
 
また、報告書のベースが 100点あることを考慮すると、全員が 100点~1000点で争うことになりますので、「適性Ⅱ」の割合は 55.6%(実質 556点。500÷900)となりますので、「適性Ⅱ」の配分は南多摩中等よりも大きい、言えます。
 
結局は、桜修館中等は、報告書も影響力はあるものの、合否は報告書の約 2.5倍の影響力がある「適性Ⅱ」の出来次第といえます。
 
 

都立三鷹中等教育学校の報告書の配点

 

三鷹中等の報告書(小学校の成績)の配点

 
 よくできた(3):40点
 できた(2)  :20点
 もう少し(1) :05点
 一学年の配点 :320点
 報告書の総配点:640点
 
 

三鷹中等の適性検査(試験)と報告書の配点

 
教科  適性Ⅰ 適性Ⅱ 報告書 合計点
素点  100点 100点 640点
換算点 300点 500点 200点 1000点
 
三鷹中等の場合、1教科あたりの点数は以下になります。
 優:12.50点/1000点満点(8倍、2倍)
 良: 6.25点/1000点満点(4倍)
 可: 1.56点/1000点満点(1倍)
 
オール「よくできた」の場合は 200点。
半分が「よくできた」の場合は 150点。
オール「できた」の場合は   100点。
オール「もう少し」の場合は  25点。
 
 

三鷹中等の適性検査と報告書の配点の特徴

 
九段中等ほど「もう少し」の配点があからさまな低さではありませんので、「もう少し」と「よくできた」の差は 8倍となっていますが、「できた」と「よくできた」の差は九段中等と同じく 2倍ありますので、「よく出来た」の数は確実に合否判定に影響を与えます。
 
また、「もう少し」の配点も九段中等の 40倍と比べると緩やかと言えますが、両国の 13.75倍に続いて 3位の倍率の高さですので、「もう少し」が複数あると本試験では相応の点数の積み増しが求められます。
 
ただ、試験科目は「適性Ⅰ」「適性Ⅱ」 2科目で、「適性Ⅱ」の割合が 1000点満点中の 500点ですので、「適性Ⅱ」でしっかりと点数を取れれば成績表の影響を小さくすることができます。
 
 

都立立川国際中等教育学校の報告書の配点

 

立川国際中等の報告書(小学校の成績)の配点

 
 よくできた(3):20点
 できた(2)  :10点
 もう少し(1) :05点
 一学年の配点 :160点
 報告書の総配点:320点
 
 

立川国際中等の適性検査(試験)と報告書の配点

 
教科  適性Ⅰ 適性Ⅱ 報告書 合計点
素点  100点 100点 320点
換算点 300点 500点 200点 1000点
 
立川国際中等の場合、1教科あたりの点数は以下になります。
 優:12.50点/1000点満点(4倍、2倍)
 良: 6.25点/1000点満点(2倍)
 可: 3.13点/1000点満点(1倍)
 
オール「よくできた」の場合は 200点。
半分が「よくできた」の場合は 150点。
オール「できた」の場合は   100点。
オール「もう少し」の場合は  50点。
 
 

立川国際中等の適性検査と報告書の配点の特徴

 
「もう少し」の 2倍が「できた」で、「できた」の 2倍が「よくできた」という配点の、ある意味わかりやすい標準的な配点です。
 
「もう少し」の配点の率が違いますが、試験科目、試験科目の配点、報告書の配点は三鷹中等とほぼ同じという認識で問題ありません。
 
また、「もう少し」に対する評価は三鷹中等ほど低くはないことや、試験科目は「適性Ⅰ」「適性Ⅱ」で、「適性Ⅱ」の割合が 1000点満点中の 500点ですので、「適性Ⅱ」でしっかりと点数を取れれば「もう少し」の影響は非常に小さいものとすることができます。
 
 

都立南多摩中等教育学校の報告書の配点

 

南多摩中等の報告書(小学校の成績)の配点

 
 よくできた(3):20点
 できた(2)  :10点
 もう少し(1) :04点
 一学年の配点 :160点
 報告書の総配点:320点
 
 

南多摩中等の適性検査(試験)と報告書の配点

 
教科  適性Ⅰ 適性Ⅱ 報告書 合計点
素点  100点 100点 320点
換算点 267点 533点 200点 1000点
 
南多摩中等の場合、1教科あたりの点数は以下になります。
 優:12.50点/1000点満点(5.0倍、2.0倍)
 良: 6.25点/1000点満点(2.5倍)
 可: 2.50点/1000点満点(1.0倍)
 
オール「よくできた」の場合は 200点。
半分が「よくできた」の場合は 150点。
オール「できた」の場合は   100点。
オール「もう少し」の場合は  40点。
 
 

南多摩中等の適性検査と報告書の配点の特徴

 
前出の三鷹中等、立川国際中等とほぼ同じ傾向で、標準的な配点と言えます。
 
「もう少し」の配点が 4点と低いため、「もう少し」があると、立川中等よりは影響があります。
ただ、、試験科目は「適性Ⅰ」「適性Ⅱ」で、「適性Ⅱ」の割合が 1000点満点中の 533点と、都立中学の中で圧倒的に高く、「適性Ⅱ」でしっかりと点数を取ることが絶対条件となります。
 
 

都立両国高校附属中学校の報告書の配点

 

両国中学の報告書(小学校の成績)の配点

 
 よくできた(3):55点(国数社理)
 よくできた(3):45点(音図家体)
 できた(2)  :35点(国数社理)
 できた(2)  :25点(音図家体)
 もう少し(1) :04点
 一学年の配点 :400点
 報告書の総配点:800点
 
※両国中学は主教科(国数社理)と副教科(音図家体)の「よくできた(3)」「できた(2)」の配点が異なっています。
 
 

両国中学の適性検査(試験)と報告書の配点

 
教科  適性Ⅰ 適性Ⅱ 適性Ⅲ 報告書 合計点
素点  100点 100点 100点 800点
換算点 300点 200点 300点 200点 1000点
 
両国中学の場合、1教科あたりの点数は以下になります。
 優:13.75点/1000点満点(13.75倍、1.57倍)
 優:11.25点/1000点満点(11.25倍)
 良: 8.75点/1000点満点( 8.75倍、1.80倍)
 良: 6.25点/1000点満点( 6.25倍)
 可: 1.00点/1000点満点( 1.00倍)
 
オール「よくできた」の場合は 200点。
半分が「よくできた」の場合は 160点。
オール「できた」の場合は   120点。
オール「もう少し」の場合は  16点。
 
 

両国中学の適性検査と報告書の配点の特徴

 
主要 4教科と実技 4教科とで配点が異なっており、主要 4教科の成績を重視している姿勢を見て取ることができます。
 
また、「もう少し」と「できた」「よくできた」の差は 8.75倍、13.75倍と九段中等についで差が大きく、「もう少し」が複数あると大きなダメージを受ける配点になっています。
九段中等と同じく、「もう少し」が付くような苦手な教科がない生徒を求めていると言えます。
 
ただ、「できた」と「よくできた」の差は 1.57倍とあまり大きくはありませんので、「もう少し」がなければ、小学校の成績はの影響度はそれほど大きいものではないと言えます。
 
 

都立白鷗高校附属中学校の報告書の配点

 

白鷗中学の報告書(小学校の成績)の配点

 
 よくできた(3):20点
 できた(2)  :10点
 もう少し(1) :05点
 一学年の配点 :160点
 報告書の総配点:320点
 
 

白鷗中学の適性検査(試験)と報告書の配点

 
教科  適性Ⅰ 適性Ⅱ 適性Ⅲ 報告書 合計点
素点  100点 100点 100点 320点
換算点 300点 300点 200点 200点 1000点
 
白鷗中学の場合、1教科あたりの点数は以下になります。
 優:12.50点/1000点満点(4倍、2倍)
 良: 6.25点/1000点満点(2倍)
 可: 3.13点/1000点満点(1倍)
 
オール「よくできた」の場合は 200点。
半分が「よくできた」の場合は 150点。
オール「できた」の場合は   100点。
オール「もう少し」の場合は  50点。
 
 

白鷗中学の適性検査と報告書の配点の特徴

 
立川国際中等と同じく、「もう少し」の 2倍が「できた」で、「できた」の 2倍が「よくできた」という配点の、わかりやすい標準的な配点です。
 
ただし、立川国際中等、三鷹中等、南多摩中等、桜修館中等のように「適性Ⅱ」が配点全体の半分を占める、といった極端な配点にはなっていませんので、「よく出来た」の数は確実に合否判定に影響を与えます。
 
ちなみに、「適性Ⅰ」の配点が高いのが、白鷗中学と両国中学の 2校です。
国語力、読解力が高い生徒を求めていると言えます。
 
 

都立富士高校附属中学校の報告書の配点

 

富士中学の報告書(小学校の成績)の配点

 
 よくできた(3):25点
 できた(2)  :15点
 もう少し(1) :05点
 一学年の配点 :200点
 報告書の総配点:400点
 
 

富士中学の適性検査(試験)と報告書の配点

 
教科  適性Ⅰ 適性Ⅱ 適性Ⅲ 報告書 合計点
素点  100点 100点 100点 400点
換算点 200点 400点 300点 200点 1100点
 
富士中学の場合、1教科あたりの点数は以下になります。
 3:12.5点/1100点満点(5倍、1.67倍)
 2: 7.5点/1100点満点(3倍)
 1: 2.5点/1100点満点(1倍)
 
他校との比較のために 1000点満点に換算すると以下になります。
 3:11.36点/1000点満点
 2: 6.82点/1000点満点
 1: 2.27点/1000点満点
 
 
オール「よくできた」の場合は 200点。
半分が「よくできた」の場合は 160点。
オール「できた」の場合は   120点。
オール「もう少し」の場合は  40点。
 
他校との比較のために 1000点満点に換算すると以下になります。
 
オール「よくできた」の場合は 182点。
半分が「よくできた」の場合は 145点。
オール「できた」の場合は   109点。
オール「もう少し」の場合は  36点。
 
 

富士中学の適性検査と報告書の配点の特徴

 
「もう少し」と「できた」の差は 3倍、「よくできた」との差は 5倍ありますので、「もう少し」があると影響が大きいと言えます。
 
ですが、「できた」と「よくできた」の差が 1.67倍となっていますので、「できた」と「よくできた」での差はつきにくく、小学校の成績は比較的影響が小さいと言えます。
 
また、換算点で 1100点満点となっていますので、相対的に報告書の割合が一番低いことや、「適性Ⅱ」が 1100点満点中の 400点を占め、「適性Ⅰ」「報告書」の倍の配点となっていますので、報告書の内容が十分ではなくても、「適性Ⅱ」が得意であれば挽回は可能といえます。
 
 

都立大泉高校附属中学校の報告書の配点

 

大泉中学の報告書(小学校の成績)の配点

 
 よくできた(3):25点
 できた(2)  :20点
 もう少し(1) :05点
 一学年の配点 :200点
 報告書の総配点:400点
 
 

大泉中学の適性検査(試験)と報告書の配点

 
教科  適性Ⅰ 適性Ⅱ 適性Ⅲ 報告書 合計点
素点  100点 100点 100点 400点
換算点 200点 300点 300点 200点 1000点
 
大泉中学の場合、1教科あたりの点数は以下になります。
 優:12.5点/1000点満点(5倍、1.25倍)
 良:10.0点/1000点満点(4倍)
 可: 2.5点/1000点満点(1倍)
 
オール「よくできた」の場合は 200点。
半分が「よくできた」の場合は 180点。
オール「できた」の場合は   160点。
オール「もう少し」の場合は  40点。
 
 

大泉中学の適性検査と報告書の配点の特徴

 
報告書の配点は、小石川中等と同じですので、成績表よりも本番のテスト結果の方を重視していると判断できます。
 
また、小石川中等は「適性Ⅱ」「適性Ⅲ」を 2倍にして 200点満点ですが、大泉中学の方はそこが 3倍となり 300点満点で計算する点です。
そのため、報告書 200点の配点はそのままに、大泉の総合点は 1000点満点となりますので、小石川中等よりも報告書の割合が低くなっています。
 
そのため、小石川中等や武蔵中学と比べ、さらに報告書の影響は小さくなり、都立中学の中で最も試験本番での結果を重視している学校と言えます。
 
また、小石川中等の受験者層に比べると、報告書の成績はややばらつきがあるのではないかとも思いますが、成績表を気にせず試験本番一発勝負ができる学校と言えます。
 
 

都立武蔵高校附属中学校の報告書の配点

 

武蔵中学の報告書(小学校の成績)の配点

 
 よくできた(3):25点
 できた(2)  :20点
 もう少し(1) :05点
 一学年の配点 :200点
 報告書の総配点:400点
 
 

武蔵中学の適性検査(試験)と報告書の配点

 
教科  適性Ⅰ 適性Ⅱ 適性Ⅲ 報告書 合計点
素点  100点 100点 100点 400点
換算点 400点 400点 400点 400点 1600点
 
武蔵中学の場合、1教科あたりの点数は以下になります。
 優:25.0点/1600点満点(5倍、1.25倍)
 良:20.0点/1600点満点(4倍)
 可: 5.0点/1600点満点(1倍)
 
他校との比較のために 1000点満点に換算すると以下になります。
 優:15.63点/1000点満点
 良:12.50点/1000点満点
 可: 3.13点/1000点満点
 
 
オール「よくできた」の場合は 400点。
半分が「よくできた」の場合は 360点。
オール「できた」の場合は   320点。
オール「もう少し」の場合は  80点。
 
他校との比較のために 1000点満点に換算すると以下になります。
オール「よくできた」の場合は 250点。
半分が「よくできた」の場合は 225点。
オール「できた」の場合は   200点。
オール「もう少し」の場合は  50点。
 
 

武蔵中学の適性検査と報告書の配点の特徴

 
小石川中等と全く同じ配点です。
換算点の満点が 1600点になっていますが、小石川中等と比較して単純に 2倍となっているだけで、報告書の配点、「適性Ⅰ」「適性Ⅱ」「適性Ⅲ」の配点の比率も全く同じです。
 
そのため、報告書に対する内容は全く同じです。
また、武蔵中学を受験する層も、おおよそ「オール『よくできた』」に近い成績での競い合いになるかと思いますので、報告書での差はほぼなく、本試験での勝負と言うことになります。
 
 

千代田区立九段中等教育学校の報告書の配点

 

九段中等の報告書(小学校の成績)の配点

 
 よくできた(3):40点
 できた(2)  :20点
 もう少し(1) :01点
 一学年の配点 :280点(4年)
 一学年の配点 :320点(5、6年)
 報告書の総配点:920点
 
※九段中等は 4年~6年までの 3年間
※小学校 4年は「家庭科」がありませんので配点は 280点
 
 

九段中等の適性検査(試験)と報告書の配点

 
教科  適性Ⅰ 適性Ⅱ 適性Ⅲ 報告書 合計点
素点  100点 100点 100点 920点
換算点 200点 300点 300点 200点 1000点
 
九段中等の場合、1教科あたりの点数は以下になります。
 3:8.70点/1000点満点(40倍、2倍)
 2:4.35点/1000点満点(20倍)
 1:0.22点/1000点満点(1倍)
 
オール「よくできた」の場合は 200点。
半分が「よくできた」の場合は 150点。
オール「できた」の場合は   100点。
オール「もう少し」の場合は  5点。
 
 

九段中等の適性検査と報告書の配点の特徴

 
九段中等の特徴は、報告書の期間が 4年生~6年生の 3年間あることです。
また、「もう少し」と「よくできた」の差が 40倍もありますので、「もう少し」があると致命傷になりかねない点差である点です。
 
つまり、九段中等は「もう少し」が付くような不得手な教科がない生徒を求めている事が分かります。
 
ただ、よくも悪くも 3年間の成績を求めますので、1教科あたりの影響は相対的に小さくなりますので、すでに「もう少し」が付いてしまっているならば、その他の学年、教科で挽回するしかありません。
「もう少し」が 1つだけならば充分にリカバリーはできる、とも言えます。
 
 
もう一つの特徴として、三鷹中等、立川国際中等、南多摩中等、白鷗中学と並んで、「できた」と「よくできた」の差が 2倍ありますので、「できた」と「よくできた」の差も大きいと言えます。
 
そのため、九段中等は小学校の時の成績が合否に一番影響を与える可能性が高く、小学校の成績が良ければいいほど有利になると言えます。
 
 

都立中学の受験に際して小学校の成績が与える影響のまとめ

 
それぞれ学校ごとにコメントを書いていますが、総評すると、「できた」と「よくできた」の差が大きい学校ほど成績表の結果を重視していると言えます。
 
 
そもそもの話として
都立中学を受験する層は、小学校での成績は上位者が多いため、「もう少し」はないことが前提で、「よくできた」の数が何教科あるか(「よくできた」を取りこぼした教科がいくつあるか)、が成績表での競うポイントとなるでしょう。
 
そのため、オール「よくできた」、オール「できた」の他に、「よくできた」と「できた」がちょうど半分ずつのときの点数の試算をしました。
 
 
学校ごとに少しずつ異なるとは思いますが、「半分が『よくできた』」くらいが、小学校の成績の差が合否判定に影響してくるあたりではないか、と考えているためです。
 
 
具体的な見方としては、例えば、
大泉中学の場合は、「オール『よくできた』」と「半分が『よくできた』」の点数差は 1000点満点中の 20点(2%)。
 
白鷗中学の場合は、「オール『よくできた』」と「半分が『よくできた』」の点数差は 1000点満点中の 50点(5%)。
 
そのため
大泉中学の場合は、1000点満点の 20点の差は、「適性Ⅰ」で 8点(素点で 4点)、「適性Ⅱ」「適性Ⅲ」でそれぞれ 6点(素点で 2点)ずつ多く正答すれば埋めることができる差です。
「適性Ⅰ」「適性Ⅱ」「適性Ⅲ」の 3科目で 1問、ないしは、2問ほど多く正答するくらいの差です。
 
対して
白鷗中学の場合は 1000点満点中の 50点の差ですので、「適性Ⅲ」で 14点(素点で 7点)、「適性Ⅰ」「適性Ⅱ」でそれぞれ 18点(素点で 6点)ずつ多く正答しなくては埋められない差なのです。
「適性Ⅰ」「適性Ⅱ」「適性Ⅲ」の 3科目で 4問、ないしは、5問ほど多く正答する必要が生じる差ですので、小学校の成績が悪いと試験本番ではかなりプレッシャーを受ける点差と言えます。
 
※大泉中学と白鷗中学とで「適性Ⅰ」「適性Ⅱ」「適性Ⅲ」での換算点が異なっています。
 
 
こうやって具体的に試算をしてみると分かるのですが、小学校の成績表(報告書)がどれくらい影響するか、本試験と小学校の成績をどれくらい重要視しているか、が見えてきます。
 
 
小学校の報告書(成績表)の配点について書いてある記事を見かけますが、成績全体に対しての「報告書」の配点や、「もう少し」と「よくできた」の配点の差に目が行きがちです。
 
ですが、先にも書きましたとおり、都立中学を受験する層は、「『よくできた』の数がいくつか」が評価のポイントとなると思われますので、「できた」と「よくできた」の配点の倍率が大きな分かれ目になると考えています。
 
つまり、白鷗中学を始め、三鷹中等、立川国際中等、南多摩中等、九段中等は、この「できた」と「よくできた」の配点の倍率が大きいため、小学校の成績が大きく影響すると考えています。
 
 
また、記事の冒頭に書きましたが、桜修館中等は見た目上は報告書の配点が高いのですが、「よくできた」「できた」「もう少し」の配点の差は大きくないため、小学校の成績での差はあまり生まれないのです。
具体的には、「できた」と「よくできた」の差は 1.47倍ですので、ちょうど中間的な学校と言えます。
 
また、「できた」と「よくできた」の差では、小石川中等、大泉中学、武蔵中学の 3校が 1.25倍と一番小さく、この 3校は小学校の成績はあまり重要視していない(差が現れない)、と言えます。
もっとも、小石川中等を受験する層は、ほぼ「オール『よくできた』」だと思われ、そもそも差がつかないような気もしますが。
 
ちなみに、「できた」と「よくできた」の差をまとめると、以下のようになります。
 
2.00倍 三鷹中等
2.00倍 立川中等
2.00倍 南多摩中等
2.00倍 白鷗中学
2.00倍 九段中等
1.67倍 富士中学
1.57倍 両国中学
1.47倍 桜修館中等
1.25倍 小石川中等
1.25倍 大泉中学
1.25倍 武蔵中学
 
傾向としては、中等教育学校は小学校の成績を重視し、高校附属中学はあまり重視をしていない、ということになるかと思います。
 
 
また、「よくできた」がいくつあるか(「よくできた」をいくつ取りこぼしたか)、を競う中において、「もう少し」があるとかなり大きなマイナスポイントになります。
 
それをハッキリと提示しているのが九段中等です。
「もう少し」と「よくできた」の差が 40倍もあるのです。
 
1000点満点における 1教科の「もう少し」と「よくできた」の差は 0.22点と 8.70点ですので 8.48点(0.85%)にもなります。(100点満点のテストの素点約 1点を押し下げる影響力があるのです。)
 
つまり、九段中等は、小学校の成績を重視している上に、「もう少し」が付く苦手な教科がない生徒を求めていると言えます。
 
ただ、九段中等は 3年間の成績が対象になり、教科数が多く 1科目あたりの割合は小さいですので、1科目くらいが「もう少し」であっても他の教科でリカバリーできると言えます。
 
 
また、両国中学の場合は、「もう少し」と「よくできた」の差は 12.75点にもなります。
 
「もう少し」と「よくできた」の差の倍率は九段中等のほうが大きいのですが、両国中学は対象となる期間が 2年間分のため、1教科の「もう少し」のダメージが大きくなるのです。
1000点満点中の 12.75点差ですので、100点満点中の素点の 1.275点の差となり、かなりの影響力です。
 
 
そもそもの話としては、九段中等や両国中学のようにあからさまではないにしても、都立中学はいずれの学校も「もう少し」に対する評価は低いため、「よくできた」の数を競う中において「もう少し」が複数あると致命的な影響を受けることになります。
 
 
 
これらの結果から、小学校の成績表を元に受験校を選択するのであれば、
 
成績がいい受験生は
白鷗中学、九段中等
を選択すると有利になり
 
成績がふるわない受験生は
小石川中等、大泉中学、武蔵中学
を選択すると不利になる割合を減らせると言えます。
 
行きたい学校を受験するのか、合格の可能性が少しでも高い学校を受験するのか、判断の目安にしていただければ、と思います。
 
 
ただ、報告書の点数だけを見ていると見誤ってしまうのが、桜修館中等、三鷹中等、立川国際中等、南多摩中等の 4校です。
学校別のコメントでも触れていますが、「適性Ⅱ」の配点が 1000点満点中の 500点(南多摩は 533点)を占めていますので、報告書の内容よりも「適性Ⅱ」の結果次第、という配点になっています。
 
あくまでも本試験の「適性Ⅱ」ができるか否かが最重要で、「適性Ⅱ」が伸び悩み、ボーダーラインに乗ってきたときに報告書の点数が活きてくる、という感じです。
 
なので、「適性Ⅱ」が得意な受験生は
桜修館中等、三鷹中等、立川国際中等、南多摩中等
を選択すると有利になります。
 
 
また、小学校の成績と本試験の重視の比率では中間的な存在な学校が下記になります。
やや本試験重視 富士中学
やや報告書重視 両国中学
 
 
以上です。
 
 

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